補聴器の補助金は、障害者手帳がある人とない人で窓口が違う補装具費(1割負担)と市町村の高齢者助成の分かれ目
2026年10月5日公開・約7分で読めます
こんな心配はありませんか
- 補聴器の補助金を調べたら「障害者手帳の対象にならない人」と書いてあった
- 手帳を持っていないけれど、自分はどちらに当たるのか分からない
- 「1割負担」と聞いたが、それはどの制度の話なのか
- 住んでいるまちに助成があるのか、いくら出るのか知りたい
補聴器のお金の助け方は、聴こえの程度で入口が2つに分かれます。どちらの入口かが分かれば、相談する窓口も、もらえる額の決まり方も分かります。
補聴器の公的な助成は、聴覚の障害者手帳の対象になる人は国の「補装具費」、手帳の対象にならない軽い・中くらいの難聴の人は市町村の高齢者向け助成、の2つに分かれます。 補装具費は障害者総合支援法の制度で、自己負担は原則1割です。市町村の助成はまちごとに独自の制度で、ある・ないも、上限額も、対象の年齢もまちによって違います。
この記事のポイント
- 両耳の聴力レベルが70デシベル以上なら、聴覚の障害者手帳(6級以上)の対象になりえる。その場合は国の補装具費(原則1割負担)の窓口へ
- 市町村の高齢者向け助成の多くは、手帳の対象にならない人だけが対象。手帳の制度と両方はもらえない
- 市町村の助成は「ある・ない」も上限額もまちごとに違う。ホジョトクが調べた市町村の数を、下の表で地方ごとに数えた
- どちらの制度も、決定の前に買うと対象外になるのが基本。まず耳鼻科と役所へ
ホジョトクは、市町村の「買う物にもらえる補助金」を公式ページで1件ずつ確かめてまとめているサイトです。補聴器は、いま217市町村を調べ、153市町村で補助を見つけています。
補聴器の補助金を市町村ごとに見る →2つの入口:手帳の対象になるか、ならないか
補聴器の助成は、次の2つのどちらかに当たります。分かれ目は「聴覚の身体障害者手帳の対象になる聴こえかどうか」です。
| 国の補装具費 | 市町村の補聴器購入助成 | |
|---|---|---|
| 対象になる人 | 聴覚の障害者手帳の対象になる人など | 手帳の対象にならない難聴の人(多くは65歳以上) |
| 根拠 | 障害者総合支援法(全国共通) | 市町村の独自の制度(ないまちもある) |
| 自己負担 | 原則1割(所得で上限あり) | 購入費から上限額までを補助。残りは自分で払う |
| 申し込み先 | 市町村の障害福祉の窓口 | 市町村の高齢者福祉の窓口が多い |
| 買う時期 | 支給の決定を受けてから | 多くは決定の通知を受けてから |
市町村の助成の要件には、安城市のように「聴覚障害による身体障害者手帳の交付対象とならない方」と書いてあるまちや、長野市のように「身体障害者手帳の交付を受けていない方」と書いてあるまちがあります。手帳を「持っていない」だけでなく、「対象にならない」ことまで求めるまちがあるので、聴こえの程度が手帳の基準に近い人は、先に耳鼻科で検査を受けておくと話が早く進みます。
聴覚の障害者手帳の基準(デシベル)
手帳の等級は、身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則 別表第5号)で決まっています。聴覚障害の部分は次のとおりです。
| 等級 | 聴こえの基準 |
|---|---|
| 2級 | 両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上 |
| 3級 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上 |
| 4級 | 両耳の聴力レベルが80デシベル以上、または両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下 |
| 6級 | 両耳の聴力レベルが70デシベル以上、または一側耳が90デシベル以上で他側耳が50デシベル以上 |
いちばん軽い6級でも、両耳70デシベル以上が目安です。等級表では、70デシベルは「40センチメートル以上の距離で発声された会話語を理解し得ないもの」と説明されています。これより軽い難聴は手帳の対象にならないので、市町村の助成の出番になります。
手帳の申請には指定医の診断書が要る
手帳の申請は市町村の障害福祉の窓口で行い、身体障害者福祉法の指定医(15条指定医)の診断書を付けます。聴こえの検査は耳鼻科で受けられるので、「手帳の基準に当たるかも調べてほしい」と最初に伝えておくと、検査が1回ですみます。
手帳の対象になる人:国の補装具費(原則1割負担)
厚生労働省「補装具費支給制度の概要」によると、補聴器は補装具の種目の1つで、障害者または障害児の保護者が市町村長に申請し、身体障害者更生相談所などの判定や意見にもとづいて市町村長が支給を決めます。
自己負担は原則1割。所得で上限がある
| 世帯の区分 | 1か月の負担の上限 |
|---|---|
| 生活保護を受けている世帯 | 0円 |
| 市町村民税が非課税の世帯 | 0円 |
| 市町村民税が課税の世帯 | 37,200円 |
ただし、本人または配偶者のうち市町村民税所得割がいちばん多い人の額が46万円以上のときは、補装具費の支給の対象になりません。
流れ
- 耳鼻科(指定医)で聴こえを調べてもらい、手帳を申請する(まだの人)
- 市町村の障害福祉の窓口で、補装具費(補聴器)を申請する
- 身体障害者更生相談所などの判定・意見をもとに、市町村が支給を決める
- 決定のあとで、業者と契約して補聴器を受け取り、自己負担分を払う
手帳の対象にならない人:市町村の補聴器購入助成
軽い・中くらいの難聴の人には国の全国一律の制度がなく、市町村が独自に助成しているかどうかで決まります。ホジョトクでは、市町村の公式ページを1つずつ開いて、補聴器の助成があるかを確かめています。地方ごとに数えると、次のとおりです。
| 地方 | 調べた市町村 | 補聴器の補助がある | 割合 |
|---|---|---|---|
| 北海道・東北 | 15 | 12 | 80% |
| 関東 | 76 | 65 | 86% |
| 中部 | 27 | 25 | 93% |
| 近畿 | 29 | 24 | 83% |
| 中国 | 12 | 8 | 67% |
| 四国 | 4 | 4 | 100% |
| 九州・沖縄 | 54 | 15 | 28% |
| 合計 | 217 | 153 | 71% |
同じ「補聴器の助成」でも、対象の年齢はまちによって違います。ホジョトクで調べた制度では65歳以上のまちが多い一方で、横浜市は50歳以上、三鷹市や立川市は18歳以上を対象にしています。また、水戸市や尼崎市のように、18歳未満の軽度・中等度難聴の子どもだけを対象にした制度もあります。
上限額はいくらくらいか
調べた制度の上限額(いちばん多くもらえる場合の額)を、金額の帯ごとに数えました。
| 上限額 | 制度の数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1万円をこえて2万円まで | 14 | 9% |
| 2万円をこえて3万円まで | 56 | 38% |
| 3万円をこえて5万円まで | 24 | 16% |
| 5万円をこえて10万円まで | 21 | 14% |
| 10万円をこえて30万円まで | 4 | 3% |
| 上限の金額が書かれていない(現物の支給・割合だけ等) | 30 | 20% |
| 合計 | 149 | 100% |
上限額が大きい制度は、次のとおりです。対象の人や条件(年齢・住民税が非課税かどうか・子どもだけ など)がそれぞれ違うので、自分が当てはまるかは各ページで確かめてください。
| 市町村 | 上限額 | 中身(ページの要約) |
|---|---|---|
| 東京都 千代田区 | 144,900円 | 60歳以上に最大14.5万円・買う前の申請が必要 |
| 東京都 葛飾区 | 144,900円 | 65歳以上・耳鼻科で必要と認められた人に最大144,900円(住民税非課税) |
| 東京都 港区 | 144,900円 | 60歳以上の補聴器に最大144,900円(住民税課税の人は半額・上限72,450円) |
| 東京都 台東区 | 144,900円 | 65歳以上に最大14.5万円・助成が決まってから購入 |
| 兵庫県 尼崎市 | 10万円 | 0〜18歳の軽・中度難聴児に最大10万円(高齢者は対象外) |
| 兵庫県 加古川市 | 10万円 | 対象は18歳以下の子どもだけ・高齢者の制度は見当たりません |
| 兵庫県 宝塚市 | 10万円 | 対象は18歳までの軽度・中等度難聴の子どもだけ |
| 茨城県 水戸市 | 9.6万円 | 18歳未満の軽度・中等度難聴児に最大9.6万円(高齢者は対象外) |
市町村の助成でよくある条件
ホジョトクで制度ページを書き出していくと、次の条件がくり返し出てきます。まちによってあるもの・ないものがあります。
- 耳鼻科医の意見書:補聴器相談医などに「補聴器が必要」と書いてもらう
- 住民税が非課税の世帯だけ、または課税・非課税で上限額が違う
- 認定補聴器技能者のいる店で買うことが条件
- 決定の通知が届いてから買う。先に買うと対象外
- 1人1回まで、または「5年に1回」など、くり返しの制限
どちらでも使える:補聴器の購入費と医療費控除
国税庁の個人課税課情報 第3号(平成30年4月16日)では、日本耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医が「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」で、補聴器が診療などのために直接必要であることを証明している場合、補聴器の購入費用(一般的に支出される水準を著しく超えない部分)は医療費控除の対象になるとしています。
助成をもらったときの控除の計算や、自分が対象になるかは、確定申告の前に税務署で確かめてください。診療情報提供書の写しと領収書は、なくさずにとっておきましょう。
窓口で聞くこと
役所の窓口・耳鼻科でそのまま聞ける質問
- 私の聴こえの程度は、障害者手帳の基準に当たりますか(耳鼻科で)
- 手帳の対象にならない場合、このまちに補聴器の購入助成はありますか
- 助成の対象は「手帳を持っていない人」ですか、「手帳の対象にならない人」ですか
- 上限額はいくらで、住民税の課税・非課税で額は変わりますか
- 意見書を書いてくれる耳鼻科と、補聴器を買える店に決まりはありますか
- 決定の通知はどのくらいで届きますか。通知の前に買うと対象外ですか
- 今年度の予算はまだ残っていますか
申し込む前のチェック
補聴器の助成を申し込む前のチェック
0 / 7印はこの端末に覚えておきます。窓口やお店で、スマホで開いたまま印をつけられます。
よくある質問
障害者手帳を持っている人は、市町村の補聴器購入助成も使えますか?
多くのまちでは使えません。ホジョトクで調べた市町村の助成の多くは、聴覚の障害者手帳の対象にならない人だけを対象にしています。手帳の対象になる人は、国の補装具費(原則1割負担)の窓口へ相談します。
補装具費の自己負担はいくらですか?
原則1割です。1か月の負担の上限は、生活保護の世帯と市町村民税が非課税の世帯は0円、課税の世帯は37,200円です。本人または配偶者の市町村民税所得割が46万円以上のときは、支給の対象になりません。
先に補聴器を買ってしまいました。あとから申請できますか?
補装具費も多くの市町村の助成も、決定のあとに買うことが前提です。買ったあとの申請は対象外になることがほとんどなので、まず窓口に事情を話して確かめてください。
補聴器の購入費は医療費控除になりますか?
補聴器相談医が「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」で、補聴器が診療などのために直接必要だと証明している場合は、医療費控除の対象になります(国税庁 個人課税課情報 第3号)。
この記事で確かめた資料
国・市町村の公式ページと公式の資料だけをもとに書いています。表の数は、ホジョトクが市町村の公式ページで1件ずつ確かめた結果を数えたもので、調べた市町村が増えると毎晩数え直します。制度の説明は2026年10月4日にリンク先で確かめました。古くなった点や誤りに気づいたらお問い合わせから教えてください。
市町村ごとに、上限額・対象になる人・申し込む順番・窓口を、公式ページへのリンクつきでまとめています(217市町村を調べ済み・登録なし)。
補聴器の補助金を見る →